2006年2月 がったん日記


2006年2月11日(土)「普通のものが障害者でも使えることを常識に」

 やまなさんとの話には、後日談があります。
 「<車いすでも入れて、バスルームには手摺が付いていて、高齢者も安心して泊れる>それが標準仕様のユニバーサルデザイン的な考え方であり、そういう考えが普及することが必要で、超高齢者社会を迎える社会ではそれが大きな<売り>になるはず。福祉的思考でなく一つのビジネスチャンスと考えて取り組む企業が増えるようにしないと前に進みません。<障害者用の特別なものを作るのでは無く、普通のものが障害者でも使える>ことを常識にしたいものです。」
 ありがとうございます、やまなさん。私が言いたいことを全部言ってくださいました(笑)。別にホテルの部屋とか列車のスペースだけじゃないと思うんですね。同じようなことが、様々な道具や場所、サービスに求められていると思う。でも、同じものが使えない場合もあるから、そこに初めて使えるようにするための工夫、視点、デザインが必要になってくるわけで、そのときみんなが知恵を出し合えればいい。そう思うわけです。はい。
 特別にお世話しなくてもいい。自然でいい。そこにちょっとの思いやりがあれば、みんなが暮らしやすくなるはず…って、なんか学校の先生みたいなこと言ってますが(笑)。まあ、理想もある程度ね、生きていくためにはあった方がいいということで(笑)。では、また!
 あ、そうだ。相互リンクの依頼が幾つかありました。トップページ、及びリンク集からジャンプできます。ここ半年間くらい、「がったん」も半分冬眠していたようなものなので(笑)、もし、その間にそのような相互リンクの依頼、またはお問い合わせをしたのに返事がない!という場合には、ぜひご一報ください。ご迷惑おかけしますです。もうだいぶ、元気になってきましたので…。


2006年2月6日(月)「続・障害者用客室について」

 先日の日記の続きです。身障者用設備の整ったホテルは、稼働率がとても高いホテルもあるようです。ただ、稼働率が悪い=儲からない=儲かる部屋に変更、または用途を変更、というケースが多いように感じたんですね。その後大阪のやまなさんからも、以下のようなメールをいただきました。
 「ホテルについてはかねがねお説のようなことを、私も主張しています。身障者用に特別仕様の部屋を作るのはムダです。車いすがグルッと廻れるスペースは、あれば便利ですが必ずと言う訳ではなく、それよりバスルームの段差が低く、手摺が付いていることの方が大切です。車いす用トイレも室内でなくてもエレベータの近くなどにあれば十分です。特別仕様にしないで、高齢者やハンディのある人への配慮が全部屋にある方がよほど気持ちよく利用出来ます。
 東横インはこの前横浜に行った時、宿泊しました。予約は問題の一つの「関内板東橋」でしたが、事前に車いすと念押ししていたのに、玄関前スペースが12cmくらいの段差のあるテラスになっていて、自力で入ることができず新設の「横浜スタジアム前新館」に変更しました。宿泊費は予約6000円が8000円にされましたが、お詫びはありませんでした。ルームはきれいで、便利で安いことは事実ですが、それにしても、社長の「60キロ制限を67〜8キロオーバーした、ちょっとした違反が怒られるなら規則は守ります」の発言にあるように、規則の最低限をクリーヤーすれば良
いんでしょう、の態度には困ったものです。
 年金暮しの高齢者や貧乏なハンディのある人は、そんなに高料金のホテルに泊れません。少し狭くても交通が便利で清潔で安いビジネスホテルは、手ごろで利用価値が高いのですが、ホテル経営者は積極的に取り込もうとしていないようで、これからのビジネスとして着目し、積極的に設備を改善するところが無いのはどうしてでしょう。
 ホテルのユニットバスに手摺が無いのが一番こまりますが、ハートビル法ではそんな肝心なことは不問ですし、新築で2000平米以上だけ、既設建築については適用しないザル法では、経営者の意識がどれだけ時代の空気を読めるか、人として常識があるかにかかっているようです。新宿厚生年金ホテルでさえいくら頼んでもバスルームに手摺がつきません。」
 私もですね、とある公共宿泊施設に勤めてる方から、「身障者用にキープしなければならなくて、稼働率が悪い、だから身障者用の部屋は困る、という図式は聞いたことがあるんですね。まあ、公共の施設ですから、学校関係で身障者用室は早めに埋まりやすい傾向にあるし、埋まらなかったとしても経営的に苦しい、と言うことはない。ただ、ぎりぎりまで予約は入れないでおかねばならないので、いろいろと気を遣うんだ、と言う話でした。一般客の希望も身障者用室が空いてても、断らねばならないことも多いと。なんだか、もったいない話ですよね。
 ただ、それが民間のホテルなら、採算性が問われるから、もっと困るんじゃないかと。できるだけ、部屋数を多くして、宿泊料金を稼ぎたいだろうし。でも、身障者用室は確保しなければならない、でも、利用率が悪い、だから、稼働率を高めようと、会議室になったり、物置になったするのかな、と…。
 実際に私は今まで、そんなに身障者用室に泊まったことはないし、一般客室でも、口コミで安くて室内が広めのホテルの情報を仕入れて押さえていく、と言うのが多かったです。トイレと風呂は困りましたが、部屋的にはある程度の情報があれば、なんとか宿泊は可能ですし。
 そんなに特別扱いして、物置になったり会議室にするくらいなら、いっそのこと、一般客室をもっとゆとりあるスペースに工夫して提供したら、と思います。そういうコンセプトはユーザーにはしっかり伝わると思うんですがねえ…。困った困ったと、やっかいもの扱いしているんでは、せっかくの施設を活かし切れないんじゃないか。そう考えるのですが。全てがある程度の基準を満たした部屋であれば、稼働率100パーセント、予約システムの煩雑さもなく、行政で設置をあらためて義務づける必要もなく…。これって、甘いですかねえ…。
 東横ホテルのように、身障者用室の運用に「困ってるホテル」って、実際多いんでしょうかね?それとも、希望者が多くていつも満室になって「困ってる」ホテルの方が多いのでしょうか?気になるところです。
 今回思いついたんですけど、法律や条例での義務づけ方にも一工夫必要な気もしてきました。エレベーターとかは義務づけ方として、一駅に最低一基、ワンルート、という基準もわかりやすいかな、と。ただ、ホテルなどは、最低1ホテル1室というと、今ひとつ現実的に使いにくさが利用者事業者ともに残るかな、と。例えば、1室だと、いつも混んでる、または1室分、いつも利用者がなくて、稼働できない、など両極端な結果になりそうで現実的とはいえない。それが、発想として、室内のもっと細かな部分(室内、トイレ、風呂等のスペース、動線、出入り口、構造等)をどの部屋もある程度共通化したカタチで義務づけれたら、随分使い勝手がよくなるのではないでしょうか?
 
 実は、私、何度か東横ホテルには泊まったことがあって、ネットも使えたり、低価格で、駅に近くて、気に入ってたんですよ。最近はもっと安いホテルに泊まることが多いですが。「スーパーホテル」、とか。安いのにはそれなりの訳がある、ってことなんですかね。なんか淋しい世の中です。あの社長さんのコトバひとつひとつに、日本のバリアフリーの現実が凝縮されていたようで、ちょっと暗い気持ちになってしまいました。う〜む。なにも障害があるとかないとか、バリアフリーだとか必要以上に意識したり、設備的にも過剰なことはいらないんですよね。ちょっと、余裕を持たせられればいい。スペースにしても採算にしても。その余裕を、受け止めるだけの余裕が、この社会にあるかどうか。その辺なのかなあ、と思ってます。