がったん日記 2006年6月
2006年6月18日(日)「車イス対応エスカレーターは真のバリアフリー設備ではない、という考え方」
最近、少しずつ「がったん」の方も、動き出してきました。で、日記を振り返ってみたら、ここ数ヶ月は月2回のペースだったんですねえ…。なんか冬眠してた、ってかんじですね。う〜む…。今、ようやく目覚めて、いろんなことスタートしているところです。
で、更新情報や気になる話題をメールでお寄せいただいてるんですけど、さかのぼって整理してるんですね。そうしたら、いろんなことがあったんだなあ、とあらためて思いました。耐震偽装問題はどうなったんだろう。東横インの客室法令違反問題は?忘れかけてしまいそう、でも今後も気にしていたい。そんな問題のように感じます。
自分的には、アクセスニュースさんから頂いてるメールで、
「車いす対応エスカレーターは、わたしたちにとっては、バリアフリー設備ではない。新たなバリア(障壁)設備だ。」
というコメントがありました。
「車いす対応エスカレーターは、1990年代初頭から生まれてこの方、バリアフリー設備としての仮面をかぶってきたが、わたしたちの多くの犠牲の下で、明らかに新たなバリア(障壁)である、という概念。それは、一般乗客の旅客流動の利便の向上としてのエスカレーター設備時における移動制約者のための車いす対応エスカレーター設置というのは、車いす使用乗客にとっては、利便の向上につながらないばかりか、危険を隠蔽し、一般乗客の円滑な移動の阻害態として現出させ、何より、エレベーターしかバリアフリー設備がないという観点からぎりぎりエレベーターの設置努力をしなければならないという努力を安直に停止させる装置としての役割を与えてしまうのである。車いす対応エスカレーター=認められたバリアフリー設備だからそれさえ付ければエレベーター設置技術的努力の思考が停止する点なのだ。」
今福さん、ごめんなさい。3月21日に頂いていたメールなんですけど。今回、私も仕事関係で車イス利用者の方と駅を利用するにあたり、下見を兼ねて駅をいくつか歩きました。昔から駅に車イス対応エスカレーターが設置されていた駅も再訪したんですが、今もそのままエレベーターが設置されている訳ではなく、そのままの状態で時が止まっていました。それなりに利用客が多いであろう駅です。東武浅草駅と、JR新橋駅。スペースがないだけが理由なのか?もしくは、「車いす対応エスカレーター=認められたバリアフリー設備だからそれさえ付ければエレベーター設置技術的努力の思考が停止する点」という、上記の発想が的を得ている、と言うことなのか…。
ただし、昨今のシンドラー社製エレベーターの事件を見ても、安かろう悪かろうで、とにかく設置しなければ、という考え方も、安全性という観点で将来に禍根を残す気もします。
安心して、どの人も同じように移動できるようにするためには。知恵を絞らねばいけませんね。
2006年6月10日(土)「今後エレベーターはどうなる?」
シンドラー社製のエレベーターのトラブルが相次ぐ中、今後バリアフリー化に欠かせないエレベーターの行方はどうなってしまうのでしょう。聞くところによると、他社に比べて価格が安いんですってね。そうなると、バリアフリー化を急速に進めなければならない各業者、特に大量に発注しなければならない事業者にとっては、少しでもコストを下げたいところでしょう。でも、エレベーターって、安全に関してどのように価格に反映されているかはわかりにくそうですね。しいて言えば、過去のトラブル発生率、かな。それにしても、実績がある程度ないと評価できないってことになると、新規参入の会社が、エレベーターをすごく安値で提示してきたら、迷うだろうなあ…。
それはそうと、今後、シンドラー社のエレベーターって、どうなるんですかね。特に、既に導入済みのところとか。仮に使用を中止し、撤去するにしても、撤去後のスペースに、別の会社のエレベーターって、導入可能なんですかね?ドアの寸法とか、モーターの位置なんかも、各社まちまちみたいですしね。う〜む…。
もう私たちの生活、それも集合住宅、または高層の公共施設に関しては、エレベーターなくしては成立しないわけで。じゃあ、どう安全を確保していかなければならないのか。その辺にピントを絞っていきたい。そう思う今日この頃なのであります。
2006年6月9日(金)「新大阪駅のエレべーター〜やまなさんから」
昨日はちょっと感情的になってしまいました(笑)。今日は、落ち着いていきます(笑)。大阪のやまなさんから、新大阪駅のエレベーターについて、メールを頂きました。
「吉田さん、山名ですがご無沙汰。
少し前に新大阪駅の一般用エレベータがやっとつきました。実に開業以来、41年かかってです!!新設エレベーターを見に行き、いくつか問題があるなと分りました。
待望の新設エレベータは11人乗りでした。しかも室内平面が正方形で奥行きが無い。設置スペースは十分にあるのにもかかわらずです。スルーエレベータではありますが、他の駅と違って大きな旅行ケースを持った乗客が多い新大阪駅では何故このような最少のものを設置したのか理解できません。
昨年、近畿大の三星先生(いろんな委員会や審議会で指導的な工学系学者)に聞いたら「私が設計図のチェックをした」と言われていたのになあと、、、?管理者はJR西日本です。
また、たまたま定期点検中で、済むまで使えず、もう一つ問題があることに気付きました。駅全体を結ぶ一般用エレベータが1基しかないのは、駅の大きさから十分とは言えないが、1基では点検中はやはり貨物用エレベータを頼むしかない状態になることです。メンテナンス員の話しでは、点検は2ヶ月に1回程度油さし程度の一番簡単な点検30〜40分ブレーキなど分解点検では1時間半〜2時間程度とのこと。分解していなければ、作業中でも車いすの利用はできるが「点検中」の札を貼って黄色の柵を置いてあるだけで、利用しようとする階がたまたま停止している階で、作業員が気付いてくれなければどうにもなりません。
特に長時間の利用中止でなければ、地下鉄への連絡は無いそうで2階の地下鉄からは駅の一番反対側の通路の奥にあるエレベータに行って、点検中だったらまた地下鉄改札まで帰って連絡してもらうしか方法がありません。
点検中の札には連絡電話など何も記入してありません。点検時間がかなり長いことが分り、以前でも貨物用エレベータの係員はなかなか来てくなかったのに、一般用エレベータが設置された今はもっと時間がかかりそう!一般用エレベータが出来たからと言って新大阪駅は油断禁物です。
車いすトイレは改札外にはゼロで、一般用トイレは段差があって入れません。改札内には有りますが、最近のように構内に多店鋪展開していると駅は単なる乗降客用施設でなく、公共施設であり改札外にも当然設置されなければなならいでしょう。エレベータへの誘導標示も不親切で、2階の案内図には記載が無いなど改善して欲しいところが多く、昨日休暇で不在だった駅ビル管理者の施設主任と今日電話で、改善をお願いしておきました。
やまなさん、ありがとうございます。
そうですね。新大阪駅は個人的にも、東京駅、新宿駅と並ぶ、日本の3大主要駅だと思っているので。その主要駅のバリアフリー化が遅々として思うように進まないのは、なぜなのかなあ、と疑問です。あまりにも駅の規模が大きすぎて、改築等手が出せないのか、周辺の整備計画と絡んだり、行政や駅事業者等の線引きが複雑で手が出せないのか。お金がないにしても、お金をかけるだけの公共性はあると思うのです。
ただでさえ、最近はエレベーターに関わる事件がクローズアップされていますから、バリアフリー化の動きが変な形でストップしないよう、願いたいです。しいていえば、耐震偽装マンションならぬ、エレベーターの構造偽装、メンテナンス偽装問題、という感じでしょうか。マスコミの方には、バリアフリーの視点から、この問題を取り上げていって欲しいと思います。垂直移動=エレべーター、は、車椅子での移動にとって、避けては通れない問題ですから。
2006年6月8日(木)「みどりの窓口廃止、に抗議します!」
すみません。ちょっと、怒ってます。私の最寄り駅のみどりの窓口がこの5月末に廃止されました。千葉県は常磐線の、比較的おおきな駅ですよ。そうしたら、同様に廃止された駅が、同じ沿線にたくさんあることがわかりました。そこで登場してきたのが、「指定席券売機」という機械です。これがもう、全然使い物にならない!ちょっと、あんまりにも利用者のことを考えてないんで、今日は駅員さんにぐちぐち怒ってしまいましたよ(笑)。まあ、言ってみれば、駅員減らしの一環なんでしょうね。人件費削減、利益追求、効率優先。う〜!だめだ(笑)、思い出したら、またむかむかしてきた(笑)。今は通勤で毎日駅や鉄道を利用しているから、いろんなことが見えて来ちゃうんですよ…。
この指定券券売機、一見便利に見えるんですけど、これが本当に困りもの。というか、この券売機でも用足しができる方もいると思うんです。でも、窓口が廃止されると、この券売機で買えない切符は、買える駅まで自分で切符を買って行かなきゃいけないんですね。で、買えた切符を変更したり、払い戻したり、間違えて買っちゃった場合なんかも、近くのみどりの窓口まで、足を運ばなければならないんですよ。
この券売機の良さもあるとは思う。だけど、あくまでもみどりの窓口が併設されていることが条件。みどりの窓口の混雑緩和につながると思うから。それだったら、利用者は便利になりますけどね。だって、行列に並ばなくていいですし。でも、買い方がわからないときには、相談しながら買ったりしたいし、おお、それこそ身障者割引の切符なども、買えないんだろうなあ…。
インターネットでもっと様々な購入方法が可能になってくればまだしも、全然使い物になっていないのが現実。もともと切符というものは複雑な「商品」ですし、どうしても自動化は馴染まないと思うんですがねえ…。
おまけに、PR中ということだからでしょうか、スタッフが説明のため、券売機の横に立ってるんですけど、聞いても「僕、バイトなんでわからないんですよ…。」じゃあ、なんの為に立ってるんだ(笑)!関係者でも分からないものを、利用者に押しつけるな!!
…すみません、ちょっとアツクなってしまいました。この問題は、JRにも疑問、質問を今後ぶつけてみたいと思っています。
2006年6月3日(土)「スイカの技術とバリアフリー」
まあ、電車通勤になり、定期券生活が続いているのですけど。毎日お世話になるのが、定期券。その定期券がまた、いろいろな種類があって、何がいいかなあ、と試行錯誤しているところです。
具体的には、紙式のもの、磁気式のもの、あと、非接触式のICカードタイプのものがあると思うのですが、自動改札化が進んだ地域では、紙式がなくなり、磁気式か、ICカードの両方の選択になる、と。で、JRだと他社線にまたがる場合は磁気式のみ、JR東日本内であれば、「スイカ」と呼ばれるICカード、となると。…はあはあ…。
で、私が使っているのは、スイカです。いわゆる、タッチアンドゴー。ピッと改札にかざすだけ。ちょっとむつかしくいうと、以下のようになるらしいですな。
「電波を使った非接触の自動認識技術。タグやラベルという形に加工されたアンテナ付 IC チップ(これを総称してICタグと呼んでいる)を商品や人に付与し、そのICチップとの間で専用装置(リーダーやライター)を使って情報をやり取りすることで、商品や個人を特定したり認証したりすることができるようになる。代表的な実用例といえば、JRの改札口で定期券をタッチまたはかざすだけで通過できるJR東日本の「Suica」やJR西日本の「ICOCA」をあげることができる。これらのICカード化された乗車券の中にはICチップと無線用アンテナが埋め込まれていて、自動改札機に搭載されているリーダー/ライターとの間で(13.56MHz帯の周波数を使用して)近距離通信を行い金額データの読み取りや、所定の運賃を差し引いたデータの書き込みを行なう仕組みになっている。」
ふーむ、ふーむ。なるほどねえ。で、このスイカも、定期のみのタイプに、クレジット機能がついたもの、JALやビックカメラなどとのジョイント機能がついたもの、など実に多彩で、何が何だか、複雑になってますね。一枚にいろんな機能が収まるのは確かに財布がすっきりしていいんですが、使いこなすにはちょっと試行錯誤しないと難しそう。
そして、最近はモバイルスイカ、として、携帯が定期のかわりになる、というサービスも出ましたね。考えてみれば、携帯は確かにいつも持ち歩く物だし、もしかすると財布は忘れても携帯は忘れない、と言う人もいるのでは。でも、電源が切れちゃってるときは、定期としての役目も果たせないとのことですから、これはこれで、めんどうだな、と。
そして、案外知られているようで知られてないのは、何かの変更をするときに、いろいろジョイントしてしまうと変更手続きがひじょう〜に面倒になると言うこと。これは、クレジットとジョイントしたり、携帯の機種変更とか。頭の片隅に入れておいてもいいかも。入るときは簡単なんだけど、一部やめたり変更するときのなんと大変なことか。
…で、今日は何が言いたかったのかというと(笑)、悪いことばかり書いちゃった気がしますが、実はそうじゃなくって、かなりこの技術はいろんな意味でバリアフリーに貢献しているのではないか、と。そう思うわけです。切符の知識もいらない、金銭の授受も、駅員さんとのやりとりもなし。すごく乱暴な言い方をすると、今まで券売機の高さだ、カウンターの高さだ、と言った問題が、かなりクリアできたりするのではないか。というか、必要ないわけだから。スイカがあれば。すると、電車に乗るというハードルも、かなりクリアできてくるんじゃないか。そう思ったんです。
確かに、基本的にはハード面はある一定の基準を保ちつつ、整備して行かなきゃ行けない。みんながその技術を共有できる訳じゃないし。でも、あらゆる側面から便利になっていくことって、必要かな、と。エレベーターが駅に設置されただけでは、電車に乗れるわけじゃなくって。ソフト面って言うんですかね。情報、とか、知識をカバーできる技術も、工夫していく必要がある。そう感じた、通勤1ヶ月弱のおじさんの感想であります(笑)。
スイカって、バリアフリーというか、「列車に乗る」と言う行為を、限りなくシンプルにしたものかな、と。小さな子からお年寄りまで、スイカを一枚持たせてあげれば、1人で電車に乗れちゃうよ、と。そこまで便利になると言うことが、いいか悪いかは、また別の話になるのかも知れないけど、とりあえず、そんな技術があるよ、と。で、それをどう使いこなしていくか、さらに工夫していくかは、私たちの問題ではないか、と。そんなことを考える今日この頃なのです。