車いすと飛行機について

 長距離の移動には、好きとか嫌いとか、便利だとか不便とか、そんなこと関係なく乗らねばならない移動手段が、飛行機。そして、それほど利用機会が多いわけではないので、何となくベールに包まれていて、わからないことが多いのも、飛行機。今、実際に利用するとしたら、とても不安に思う人が多いのも、飛行機ではないでしょうか。
 実際に利用した方々の体験記を中心に、問題点を整理できればいいかな、と感じています。


2005年6月16日(木)「今日も元気なやまなさん、博多へGO!飛行機編」

 昨日に続き、やまなさんのレポート、飛行機編です。
 『航空機への車いす搭乗はかねてから問題が指摘されてきました。この度、福岡DPI参加のため、伊丹ー福岡をANAとJALで往復し、どのような問題があるか検証してみました。
1、どのような障害者も機内乗り入れ用車いすに移乗を強要される。どうして飛行機には車いすスペー スが無いのか?座席が固定出来るのだから、電動車いすを床からシートベルトで固定するのは簡単  な事です。ジャンボやエヤバスなど大型機では十分可能なのではないでしょうか。
2、1時間前の搭乗手続きを要請されるが、搭乗用車いすで長時間待つことが困難な障害者への配慮がない。
3、ホームページには何種類かの車いすを用意してあると記載してあるが、空港には1種類しか置いて 無く、その車いすで大丈夫ですかと問わない。
4、積込みにはコンテナに固定して乗せられる機種と、混載で普通の荷物と一緒にターンテーブルに出 てくる機種の場合がある。預ける時にその事の説明がな無ければ、それに対応した積込み要請が出来ず、混載した場合破損事故が起り易い。
5、どの航空会社も障害者本人への配慮やサービスは、丁寧で親切であるが、障害者介助の訓練を受 けているか疑問。どのような教育を実施しているか誰か知っていますか?
6、電動車いすは一種の精密機械であり、細心の配慮で積込む必要があることを十分わきまえて欲しい               。単なる荷物ではない、壊すとすごく迷惑がかかるとの認識が必要。
7、バッテリー取外しは、転倒時の液漏れと誤作動による暴走を防ぐ為なので、通常の電動車いすは、電源キーを抜けば誤作 動は起らず、固定して積込めば横倒しになることはあり得ない。従ってバッテリーの取外しは無意味なのに世界中の空港で  行われているのは何故?(液漏れ、誤作動の恐れが無い事を説明出来れば、外さず積み込める)
8、飛行機の搭乗口とボーディングブリッジの段差。機種により多少の差があるとの事ですが、予想外に段差がある。空港は入口までは完全にバリアフリーなのに、最後にしっかり段差があるが、携帯スロープで超えられる範囲。
9、機内に車いすスペースを作り、自分の車いすで搭乗出来れば、航空機は車いすにとって使い易い乗物になる。主要空港はバリアフリーになっていて、交通アクセスも問題ないはず。片側3座席のMDは中央通路も狭く、入口もすぐに直角に曲がら  なくてはならず、通常の車いす乗り入れは無理のよう。しかし、座席を外して車いすスペースを作れる機種はかなり多いはず  で、寸法的な可能性と固定方法の実証検討を始めて欲しい。

 福岡空港でJALに出発30分前に車いすチェックインをして搭乗してみました。来るのが遅いと嫌がらずに頑張って乗せてくれましたが、結果は失敗でした。伊丹ー福岡は新幹線が主な交通機関になってしまっているようで、JALもANAも片側3列づつで、細長いMDの機種を就航させているようです。以前のような大型機でなく、狭いが長くて結構多く乗れる機体です。
 同じ機体のように見えても、積込みにコンテナが使えるのと貨物室に混載する機種があるのに気付かず、積込み方法の説明も無かったので、コンテナ収納と同じように分解積込みを指示して搭乗。伊丹で受け取り場に行きビックリ!ターンテーブルに私の車いすが廻っていたのです。
 単にビニ−ル袋に入っているだけで、エヤーキャップも当ててなかったので、本体は多少凹んだり傷が付いたくらいで済みましたが、座は取り付けネジのプラスチック部分が2ケ所壊れていました。コンテナに入れないなら、分解しないほうが安全だったのに。取外した座はやはりビニール袋に入れただけだったので、機内でゴロゴロ転げていた模様。肘掛け固定ボルトと座席固定ボルトが壊れていたのです。
 なんとか使用は出来たので走行して帰宅しましたが、明日から修理です。JALはきちんと対応してくれるようですが、以下反省です。
1、どういう状態で積込むのか確認して預ける。
2、安心して積込みできる時間的ゆとりは必要ーー1時間前位に空港に着けば十分です。』

 …はあ〜。なんだかすごいレポートですが。飛行機ってどうもまだまだベールに包まれているところが多いと思うんです。え?と言うようなことも、普通に行われていたりするし。「飛行機なんだから、我慢して」と。写真の車内用車いすだって、20年前と何ら進化していなくって、なんだか驚くやら、あきれるやら。その車いすでいいですか?以前に「これに乗ってくれなきゃ」という姿勢。う〜ん…。あと、機内になぜ車いすスペースがないのか、という疑問ももっとも。なるほどなるほど。しかし、車いすを大事に扱ってくれないのは、ちょっと哀しいなあ。飛行機のバリアフリーはまだまだ、というところなのでしょうか。ふ〜。
 やまなさん、レポートありがとうございました。おかげで、飛行機の現状、よくわかりました!


2005年5月29日(日)「車いすの存在って、危険なの?」

 なんとか、体調も戻りつつある今日この頃。またぼちぼち再開しますので、どうぞよろしくおねが意志ます。
 さて、ちょっとお休みを頂いている間に、やまなさんからメールをもらいました。内容がちょっと気になる内容だったんで、がったんでも話題にできれば、と。
 考えてみたらですね。よく飛行機に乗るときなどは「機内用の専用の車いすにお乗り換え下さい。」とか、言われますよね。今はどうなのかわかんないですけど。私が友人と飛行機に乗ったときは、おお、16年以上も前の話で。で、どんな車いすかねえ、と話をしていたら、なんてことない、ちいさな、細い車いすで。「これに乗ったらかえって危ないんじゃないか?」と思ったことを覚えています。
 その車いすの大きさは、結局のところ機内の通路巾に合わせたものなのですね。でも、それはあくまでも飛行機の都合であって、お客さんの車いすの都合は考えてくれないのかなあ、と。結局、乗せてあげるのだから、ルールを守ってくださいねえ、と言われているような気がして。それでいいのかなあ、と、ずっと思っていました。
 そうしたら、やまなさんのメールを見て、やっぱりそうことって今もあるんだなと思ってしまいました。
 やまなさんのお知り合いの方が電動車いすで名古屋城で開催中の新世紀・名古屋城博に行ったら、場内に用意してある車椅子に乗り換えてくださいとか、電動車椅子を手動に切替してくださいとお願いされたそうです。乗り換えて、と言うのも困るけど、手動に切り替えてっ、て、そりゃかえって危ないだろう、と思うんだけど。もちろんその方も説明して最終的には入場できたようですが…。
 このようなことって、愛知万博でもあるようで、バリアフリーが少しずつではあるけれど浸透してきているのかも、というのは自分の大きな認識不足なのだと思い知らされました。ハード(エレベーターやスロープ)がいくら充実したって、そのエレベーターにわざわざ別の手動の車いすに乗り換えなければならなかったり、電動車いすを手動にしなければ乗れないのだったら…。それって、どこの国のお話ですか?って、聞きたくなってしまうなあ…。
 「がったん」も結局、何を今までやって来たんだろう、とか、つい考えてしまう。情報を相手、それも関係者にだけじゃなく、不特定多数の人たちにどう伝えるかを、これからすごく真剣に考えていかなきゃ、とあらためて考えさせられたお話でした。
 後日、新世紀・名古屋城博ではスタッフを増員し、電動車椅子で来場した人を先導して案内するようになったとのことです。「結局主催者は、本当は電動車いすは一般のお客にとって危険な存在と思っている対応のように感じます。」とのやまなさんの弁。全く同感、です。 


2002年10月26日(土)「国内航空運賃障害者割引拡大」

 何でも、航空運賃の障害者割引が6級までの等級の全利用者に拡大された模様です。実施は、来年1月1日からになるとのこと。すると、今後はJRや私鉄等、鉄道運賃の割引拡大へと、動きが広がっていくのでしょうか。今後に注目です。